台風が大変な破壊力を見せつけたそのすぐ後に、
大きな地震がこの国を襲いました。
多くの人が大変な思いをされたことと思います。
幸いにも僕自身や周りの人々は大事に至ることなく過ごせています。
僕は食品関係の仕事をしていて、
今回のような災害があると、
どの地域でどんな被害があって、
どんな作物に被害が出ているのかという事が耳に入って来ます。
去年もこの時期に台風が通って、
冬の作物が高騰した記憶がありますが、
今年もそうなってしまうかもしれません。
ただ、現代は物流網が整っていることと、
最近の災害続きの経験から学んでいることもあって、
出来る限り多くの人の日常生活に支障がないように、
陰で支えていこうとする状況も見えて来ているので、
今年はまた違った状況になっていくかもしれません。
商品の内容を微妙に変えたり、
取り寄せる原材料の品種を変更したりして、
店頭に並ぶ段階では何事もなかったかのように
商品が並んでいるように努力しています。
もちろん被害を直接受けている地域の作物を作っている人たちなどは、
大変な状況の中を次の作付けへ向けて整えていかなければなりません。
個人で作って販売までされている場合は、
本当に大変だと思います。
ただ僕が分かる範囲では採れる作物の量に関係なく買い取る契約をしているので、
少なければその他の地域から追加で調達するということになります。
地域ごとにその辺りを取り仕切っている団体ごとに契約をしているので、
普段はその中で全体の生産量を調整して出荷してもらっているのですが、
災害等で少ない場合には新たにコストをかけて
他のルートで原材料を調達して来るということになります。
それでも店頭販売価格を上げることはありません。
店頭では多くの商品が並びます。
他のメーカーさん達も同じように工夫して
そこに並んでいる状態は想像できます。
買う人たちは少しでも家計を浮かせるように無駄な出費を抑えていこうとするものです。
そこへ「この味が好き」という思いを持って下さった人へ同じ価格で提供していくのは、
実は多くの人の努力が一品一品の商品に費やされているのでした。
この仕事をやってみて、
実際その辺の事がわかるようになったこともあって、
この仕事にも責任感をもって取り組めています。
大きな社会の小さな歯車として回されることに反発したくなっていたこともありますが、
その役割をきっちりこなせる責任感を持てる人になって、
嫌々ではなく、目の前にあることをキッチリ片づけていく前向きさが持てるようになると
新しいものの見え方が分かって来ました。
実際どんな場所で何をやっていたとしても、
自分に与えられた時間と空間の中でその役割をきっちり果たせるかどうかということに
文句を言っていては物事を前進させることは出来ません。
いろんな人がいていろんな状況が巻き起こっているこの世界では、
その場その場で自分の最高のパフォーマンスが出来るかどうかを、
何か他のせいにしていてはキリがありません。
自分が自分の世界の中心でしっかりとしていなければ、
結局何をやっても上手く行くことは無いのですから。
もしも自分が何をやるべきなのかがキッチリ分かっているとしたら、
どれだけ大変でも周りにやるべきことを伝えていかなければなりません。
まだまだ何をやっていいのか、
分からずにいる人が沢山いるからです。
彼らはやる気が無いわけではありません。
何をやればいいのか分からないのです。
人それぞれの持ち場があって役割りも違うので、
その場その場で出来ることは違いますが、
その場その場でしかできないことがあります。
そこに気が付くことができるようにすることが、
責任感を育てる一番の近道になることが分かって来ました。
あぁしろ!こうしろ!というのではなくて、
今、自分には何ができるかというところに注意を持って行くことが、
人が繋がって出来上がっている社会に対して、
責任を持てる人になって行く入口になるのではないかと思います。
そこにある現実をしっかり真正面から受け止めて、
出来ることをきっちりやっていく、
この世界を生きていくって、
実はこれしかやり方は無いんです。
それをそうするだけなんですよね。